木造熊野速玉大神坐像・木造夫須美大神坐像・木造家津御子大神坐像・木造国常立命坐像 もくぞうくまのはやたまおおかみざぞう・もくぞうふすみおおかみざぞう・もくぞうけつみこおおかみざぞう・もくぞうくにとこたちみことざぞう
| 員数 | 1躯、1躯、1躯、1躯 |
|---|---|
| 地域 | 東牟婁地域 |
| 所在地 | 新宮市新宮(和歌山県立博物館寄託) |
| 時代 | 平安時代 |
| 指定年月日 | 明治32年8月1日・明治30年12月28日・明治32年8月1日・明治32年8月1日旧国宝指定、平成17年6月9日国宝指定 |
| 指定等区分 | 国指定 |
| 種類 | 彫刻 |
| 所有者 | 宗教法人熊野速玉大社 |
解説
参考文献 「国宝事典p111」(2019年第4版文化庁) 『和歌山県の文化財 第3巻p428』(昭和57年) 「熊野速玉大社の名宝 新宮の歴史とともにp20p21」H17(和歌山県立博物館) 「熊野三山の至宝p11」H21(2009)和歌山県立博物館 「熊野 聖地への旅p12」H26(2014)和歌山県立博物館 「仏像と神像へのまなざしp28」H31(2019)和歌山県立博物館 「聖地巡礼 第Ⅳ期p2」R6和歌山県立博物館 「きのくにの名宝p44」R3(2021)和歌山県立博物館 「祈りの道p196」H16(大阪市立美術館・名古屋市博物館・世田谷美術館) 「神様の息吹p25」H20(熱田神宮) 「月刊文化財p32」平成23年11月 「H25確認調査」
修復歴 S26燻蒸、虫蝕部の硬化・形成、畳座新造(美術院、三十三間堂境内国宝修理所)「S26修理設計書」、 H19虫蝕処置、剥落止め、材質強化、候補彩色等除去・調整(美術院)(「月刊文化財p32」平成23年11月 記載)「H19修理図解、解説」 修理記録データベース 1898年國寳神佛像等修理目録 1951年美術工芸課資料集別冊補助事業実績一覧「美術院」 2007年鹿園雜集11「財団法人美術院」
(木造熊野速玉大神坐像)
熊野速玉大神は当社の主神で、速玉宮と呼ばれる本殿に祀られている。檜材の一木造で内刳りを全く施さず、彩色仕上げとする。頭部は唐草文を描いた四面の宝冠をいただき、髭をたくわえ、袍・袴を着し、両手を衣中に包んで拱手し、右袖を膝前に大きく広げて正座する中老の男神像で、当社の主神にふさわしい威厳と風格がある。造像年代は10世紀頃と考えられる。わが国の神像彫刻を代表し、熊野信仰を象徴するものである。
(木造夫須美大神坐像)
速玉大神と好個の一対になる女神像で、結宮と呼ばれる第一殿に祀られている。檜の一木造で、彩色仕上げとするこの像は、主神に劣らぬ大容を示し、豊かな髪を胸と背中に垂らし、大袖の衣をゆったりと身につけ、左膝を立て、衣に包んだ両手を膝上において安座する。その左右の均衡にとらわれない自由でおおらかな造形は初期神像の一形態を示すものである。造像年代は速玉大神と同じく10世紀頃と考えられる。
(木造家津美御子大神坐像)
家津美御子大神は第三殿証誠殿に祀られており、熊野本宮大社の主神にあたる。檜の一木造、彩色仕上げの神像で、最も若やいだ青年らしい風貌に彫られ、目尻をつり上げた精悍な表情に神威が感じられる。一木造の仏像に特徴的な翻波式衣文が最も顕著にあらわれており、10世紀に中央とのつながりの中で造立されたものと考えられる。
(木造国常立命坐像)
国常立命は第三殿証誠殿に家津美御子神とともに祀られている。この像は、檜の一木造で、内刳を施さず、彩色仕上げとする。損傷が甚だしく、体部前半を失っているが、巾子冠をつけた面相部はよく残っている。顎のはった面長の顔立ちや眉目のつくりは、主神の速玉大神と似ておりほぼ同時期の一連の造像と考えられる。貞観様式から藤原様式に移行する過渡期の神像彫刻の名作である。
(和歌山県文化財ガイドブック)