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周参見王子神社奉納絵馬 すさみおうじじんじゃほうのうえま

ノーイメージ画像
員数 52点
地域 西牟婁地域
所在地 西牟婁郡すさみ町周参見2290-1
時代 江戸中期~明治時代
指定年月日 平成28年3月15日指定
指定等区分 県指定
文化財分類 有形⺠俗⽂化財
所有者 周参見王子神社

解説

すさみ町周参見(すさみ)の氏神として崇敬を集める周参見王子神社に奉納された絵馬群。枯木灘(かれきなだ)沿岸に位置する周参見は、江戸時代に口熊野代官所等藩の役所が置かれていたこと、また、周参見浦は多くの船舶の停泊が可能であったことから、廻船の風待ち・潮待ち港として機能した。そのため同社には、海上安全を祈願する漁民や廻船の船主から数多くの絵馬が奉納された。同社に伝わる絵馬のうち最古のものは、安永8年(1779年)に周参見浦漁船中より奉納された芝居図絵馬である。
また、31点にのぼる船絵馬群は、大坂の絵馬師・吉本善京や岩崎絵馬藤の製作により、上方―江戸航路の安全を願う船主から当社に奉納されたものである。文政9年(1825)に播磨屋治三郎が奉納した船絵馬をはじめ、江戸時代後期から明治時代にわたり、熊野沖を航行した和船の変遷をうかがい知ることのできる県下最大のコレクションである。
このほか、天の岩戸や和藤内(わとうない)の虎退治など神話や芝居を題材にした絵馬10点、婦人参詣図、浪花名所大図など名所・風俗を描いた絵馬5点、鷹・虎・馬など動物を描いた絵馬3点、発句や歌合わせの奉納額2点など種類も多い。また、元治2年(1865年)に奉納された算額(和算の問題や解き方を記した額)は、算術の勉学に励み、その向上を祈念した貴重な絵馬である。
このように、熊野灘沿岸の江戸期、そして明治期における海上交通と信仰の有り様を示す資料として貴重なものであり、学術上の価値が高い。