過所船旗 天正九年三月廿八日 かしょせんき てんしょうくねんさんがつにじゅうはちにち
| 員数 | 1幅 |
|---|---|
| 地域 | 那賀地域 |
| 所在地 | 紀の川市名手市場(和歌山県立博物館寄託) |
| 時代 | 安土桃山時代 |
| 指定年月日 | 平成27年9月4日指定 |
| 指定等区分 | 国指定 |
| 種類 | 歴史資料 |
| 所有者 | 個人 |
解説
過所船旗は海上通行証というべきものである。本品は天正9年(1581)、瀬戸内海に制海権を有した能島村上氏の当主・村上武吉が発給したもので、中央に能島村上氏の家紋である「上」の字を意匠化して墨書きしている。受給者は、右側の墨書にある向井弾右衛門尉。彼は、戦国期に紀伊国で勢力をもった雑賀衆の一員とみられる。雑賀衆は優れた鉄砲隊を有したことで知られるが、紀淡海峡を起点に瀬戸内を経て遠く九州に至るまで、海上を広範囲に行きかう海運業をいとなむ集団としての側面ももった。また、雑賀衆は、石山合戦で、毛利水軍の主力として本願寺の救援に当たった村上氏と協動した。本品が雑賀衆の一員とみられる人物に宛てられている背景にはこうした事情があったとみられる。本品は、交通の大動脈であった瀬戸内海での海上交通の実態を伝えるもので、海上交通史研究上極めて貴重な資料である。