的場家住宅 まとばけじゅうたく
員数 | 3棟 |
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構成要素 | 主屋(しゅおく)、離れ、土蔵(どぞう) |
地域 | 伊都地域 |
所在地 | 伊都郡かつらぎ町東谷1046 |
時代 | 江戸後期・大正後期・昭和中期 |
指定年月日 | 令和元年12月5日登録 |
指定等区分 | 国登録 |
文化財分類 | 有形文化財(建造物) |
所有者 | 個人 |
解説
串柿の産地として知られる通称「四郷(しごう)」の一つ、東谷(ひがしたに)地区に所在する農家住宅である。的場家は東谷のうち、神野(こうの)の集落にあり、串柿生産を営む家である。屋敷は南西を向いて細長く取られ、中心に主屋を建て、東に離れ、西に土蔵を並べる。
主屋は、木造、平屋建、寄棟造、茅葺(かやぶき)である。建築年は棟札より文化2年(1805年)と判明する。神野では茅葺に鉄板を被せた家が多いが、当家は唯一の茅葺となっている。平面は北西側を床上とし、南東側が土間となる。土間は1室の空間であるが、平成18年(2006年)に一部を除き、床が張られている。土間境は力強い梁組が現しとなる。
主屋の床上部は四間取で、正面側下手にオモテ、上手にオクノマを並べる。オクノマには押板形式の床の間を設け、床脇は仏壇を構える。床柱は杉の磨き丸太であるが、ツタの絡みついた痕が露わな柱を用い特徴的である。
離れは、木造、2階建、入母屋造、瓦葺の建物である。大正後期に建設された。現在は主屋と接続されており、調理空間や寝室となっている。1階は北西側の部屋が台所となっているが、かつてここは土間の作業場であった。南東側の部屋は8畳間で南東面に床の間を設ける。2階は2室の居室である。
土蔵は、土蔵造、2階建、切妻造、瓦葺で、昭和31年(1956年)に建設された。土蔵部の西側には居室部を設ける、居室部は木造、平屋建、入母屋造、桟瓦葺である。土蔵は正面側に入口を設け海鼠壁(なまこかべ)を造る。その他の壁は漆喰塗で高く腰板を張り、伝統的な土蔵の造りを良く伝えている。
茅葺の主屋のほか、離れ、土蔵が並び建ち、当地における伝統的な農家の造りを良く伝えるもので、神野の歴史的景観に寄与するとともに、串柿の里の象徴的存在である。