豊原家住宅 とよはらけじゅうたく
員数 | 2棟 |
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構成要素 | 主屋(しゅおく)、離座敷(はなれざしき) |
地域 | 伊都地域 |
所在地 | 伊都郡かつらぎ町滝1464 |
時代 | 江戸後期・昭和前期 |
指定年月日 | 令和元年12月5日登録 |
指定等区分 | 国登録 |
文化財分類 | 有形文化財(建造物) |
所有者 | 個人 |
解説
串柿の産地として知られる通称「四郷(しごう)」の一つ、滝(たき)地区に所在する農家住宅である。滝は葛城山脈の山間にある集落で、この住宅はかつて西岡家の住まいであったが、売却されて所有者が代わり、現所有者が平成30年(2018年)に購入した。
住宅は集落を貫く道の北側やや高い位置にあり、敷地中央に主屋を南面させて建て、その西側に離座敷を並べる。
主屋は木造、平屋建、入母屋造、茅葺(かやぶき)である。低い軒の構えが外観の特徴である。正面側は吹き放しの土間とし、縁側を設けない。平面は西側を床上(ゆかうえ)とし、東側を土間とした四間取である。土間と床上境に大黒柱を建て、曲がりの大きな梁を入れており、土間の空間をダイナミックなものとしている。
主屋の床上は正面側に6畳2室を並べ、背面側は下手を4畳半、上手を6畳とする。正面側の6畳は座敷として造られ、高く根太天井を張る。部屋境は差鴨居を入れ柱を省略する。上手の6畳には古式な押板形式の床の間を設け、床脇は仏壇を造る。床柱は杉の磨き丸太を用い、仏壇上部のみ長押を打つ。これら正面側の室列は建築当初の構成を良く残している。建設年代は不明であるが、押板形式の床の間等から、江戸時代後期の建設と考えられる。
離座敷は、木造、平屋建、入母屋造瓦葺の建物で、昭和前期に建設された。主要2室よりなる座敷で、南東隅に入口を設け、踏み込み土間とする。主室である2室は続き間の座敷で、8畳を並べる。正面側と背面側に縁側を付ける。座敷は西側に床の間を設け、床脇は造らず押入とする。目立った装飾的な要素は少ないが、正面側の戸袋は矢羽根形に板を張った凝ったものになる。また、下屋(げや)のつなぎ梁の先端には繰り型が施されている。
江戸時代後期に建設された茅葺の主屋と、昭和前期に建設された離座敷よりなる当地の伝統的農家の造りを伝えるもので、集落の歴史的景観に寄与している。