伊藤家住宅 いとうけじゅうたく
員数 | 3棟 |
---|---|
構成要素 | 主屋(しゅおく)、土蔵(どぞう)、納屋(なや) |
地域 | 有田地域 |
所在地 | 有田市糸我町中番1097 |
時代 | 江戸時代末期、明治後期 |
指定年月日 | 平成30年5月10日登録 |
指定等区分 | 国登録 |
文化財分類 | 有形文化財(建造物) |
所有者 | 個人 |
解説
有田市糸我町は、有田地方で最初にみかんが栽培された由緒ある地である。伊藤家6代目の孫右衛門が、天正2年(1574年) に肥後八代からみかんを移植し、紀州のみかん生産が始まった。伊藤家屋敷の南側に広がる当家の畑は、有田で最初のみかん畑と伝えられ、現在もみかん生産が営まれている。
屋敷には北側道路に面し、東から納屋、主屋と、土蔵を並べる。屋敷には納屋の東を通り、門をくぐって入る。
主屋は木造、つし2階建、切妻造、瓦葺、建築面積176平方メートルで、南面して建つ。東を土間、西を床上とし、土間部屋根は落棟(おちむね)に造る。室内はダイドコロが下手に張り出した四間取を元とし、紀北や紀中・有田川下流域の間取の特徴が見られる。この上手に明治43年(1910年)に座敷を増築し、六間取となった。建設年代は不明であるが、形式手法から江戸時代末期と考えられる。長大で重厚な外観で、内部は良材を用いた伝統的空間が良く残る。
土蔵は主屋の西に接し、東を向いて建つ。土蔵造、二階建、切妻造、瓦葺、建築面積26平方メートルである。腰板壁、漆喰塗の外壁で、土蔵らしい外観になる。
納屋は主屋の東側に西面して建つ。木造、2階建、入母屋造(南面は切妻造)、瓦葺、建築面積66平方メートルである。納屋に付属し、門と脇塀が取り付く。納屋内部は南側の土間と、北側の畳敷の隠居部屋よりなる。
伊藤家住宅の主屋、土蔵、納屋は伝統的な造りになり、有田市糸我町中番の景観上の重要な構成要素となっている。代々続くみかん農家の住宅であり、当地の地場産業と密接に結びついた建造物である点も貴重である。