旧チャップマン邸 きゅうちゃっぷまんてい
員数 | 2棟 |
---|---|
構成要素 | 主屋(おもや)、石段及び石垣 |
地域 | 東牟婁地域 |
所在地 | 新宮市丹鶴一丁目3-2 |
時代 | 大正15年頃 |
指定年月日 | 令和2年8月17日登録 |
指定等区分 | 国登録 |
文化財分類 | 有形文化財(建造物) |
所有者 | 新宮市 |
解説
東京の文化学院の創設に関わり、大正期住宅改良で活躍した新宮市出身の建築家、また教育家であった西村伊作が設計し、大正15年(1926年)に建設された。
E・N・チャップマン(1888年~1972年)は、米国長老派教会から派遣された宣教師で、大正6年(1917年)来日、大正9年(1920年)から昭和15年(1940年)までの間、新宮に定住し、ここを拠点としてプロテスタントの布教に努めた。住宅は新宮の住宅街の西村の自邸(重要文化財旧西村家住宅)の筋向かいにあり、チャップマンは西村の家族とも親しく交流したという。住宅はその後所有者が推移し、一時旅館としても使われたこともあったが、平成27年(2015年)に新宮市が取得し、整備を行い、平成31年(2019年)4月より観光交流施設として公開活用されている。
主屋は、木造2階建、切妻造り、スレート(硬質木片セメント版)葺きの洋館である。建物のほぼ中央に正面玄関・ホールを設け、そこを動線の要として各部屋に通じる。1階は南東の部屋をリビングとし、南に半八角形のベイウインドウ、西に暖炉などを配し、北側はダイニングに続く。西村が提唱した居間中心型の住宅となっている。2階は階段ホールを中心として寝室のほか、学習室、浴室などからなっている。主寝室は南にバルコニーを設けている。 主屋外観は全体には装飾を抑えながらも変化に富んだ外観で、西村の作風を伝えている。
敷地の外郭の石垣や導入となる石段も主屋と同時期に造られたもので、石張りの門柱を立てている。
この住宅は、西村伊作設計の住宅遺構の一つとして重要であり、向かいあって建つ旧西村家住宅とともに、当地の歴史的景観を形創っている。