三輪崎青年会館 みわさきせいねんかいかん
員数 | 1棟 |
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地域 | 東牟婁地域 |
所在地 | 新宮市三輪崎二丁目8-3 |
時代 | 昭和2年 |
指定年月日 | 令和元年9月10日登録 |
指定等区分 | 国登録 |
文化財分類 | 有形文化財(建造物) |
解説
新宮市三輪崎は紀伊半島の南部に位置し、熊野灘に面し、海岸沿いに平地が広がり中心に三輪崎港がある。江戸時代から漁業で栄え、捕鯨も盛んであった。
青年会館は三輪崎港から北へ入った東西方向に延びる街路に南面してある。この街路は町家や旅館が並ぶ町の骨格をなす街路であり、町の中でも良い立地である。建築年は昭和2年(1927年)である。青年会はそれまで、民家を借りていたが、三輪崎の篤志家土井稲造より土地の提供を受け、専用の会館の建設に至った。会館は青年会の集会のほか、昭和53年(1978年)頃までは選挙の投票所や健康診断、予防接種の場となるなど、公共の用途にも用いられた。また、地元の人々の芝居鑑賞の場や珠算教室の場などにもなり、地域で使用する公民館的な文化施設であった。現在でも三輪崎郷土芸能保存会によって、毎年9月中旬に三輪崎八幡神社例大祭で奉納されている「三輪崎の鯨踊」(和歌山県指定無形民俗文化財)及び「三輪崎の獅子舞」(新宮市指定無形民俗文化財)の練習場となっている。
会館は、木造、平屋建(一部2階建)、瓦葺である。正面外壁は板張りとし、茶色のペンキ塗を施す。左右翼部(よくぶ)を張り出し、正面妻面に日の出マークが付けられた独特の外観である。正面玄関を入ると内部は広い1室で、講堂として使用する部屋である。天井を5メートルと高く取った広い空間で、北側に間口2間の舞台を設けている。外観は洋風であるが、内部は和風が基調で、真壁造とし漆喰塗で仕上げる。
2階は正面側に設けた18畳の部屋で、芝居などの観覧が出来る桟敷(さじき)のような造りで、吹き抜けとなる講堂部を望むことができる。
三輪崎青年会館は日の出マークを付けた特徴ある洋風の外観で、伝統的な町家が並ぶ三輪崎の町並みのシンボルとして、長年にわたって親しまれてきた。現在も「三輪崎の鯨踊」の練習に使われる現役の施設である。本建築は熊野地方で現存する数少ない青年会館の一つで、洋風の外観を持ち保存状態も良い。