野田原の廻り阿弥陀 のたはらのまわりあみだ
地域 | 那賀地域 |
---|---|
所在地 | 紀の川市桃山町野田原 |
指定年月日 | 平成20年6月24日指定 |
指定等区分 | 県指定 |
文化財分類 | 無形⺠俗⽂化財 |
所有者 | 野田原区 |
解説
紀の川市桃山町野田原地区は、貴志川支流の山田川の上流部に位置し、隠田、光長、浦向、長田、鳥淵、所垣内、半田、神縄掛の8小字(こあざ)からなる。野田原では、神縄掛を除く7小字、約70戸の家々の間で阿弥陀仏の厨子を順番に回して祀る「廻り阿弥陀」の風習を長らく保存・継承してきた。廻り阿弥陀の本尊である板彫三尊像は、雲に乗った阿弥陀如来・観音菩薩・地蔵菩薩の三尊が来迎(らいごう)する様子を表現した珍しい形式のもので、その様式等から中世末の作と考えられる。
廻り阿弥陀の厨子は、背負われて家から家へ廻され、各家で祀られる。その期間は一定していないが、1か月から3か月を目途にして、およそ5年で地区内を一巡する。また、廻る順も決まっておらず、隣近所で相談をして廻し、受け入れた家ではこれを歓待して祈願を込めて祀る。
野田原の廻り阿弥陀が、いつ頃から行われているのかは定かではないが、長らく当地の家々の紐帯(ちゅうたい)をなし、地区内の共同意識を育んできた存在であり、当地域の村落信仰のあり方を知る上での貴重な習俗である。また、いわゆる「巡行仏」習俗の本県における代表的な事例である。