善名称院 ぜんみょうしょういん
員数 | 3棟 |
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構成要素 | 本堂、土砂堂(どしゃどう)、大安上人廟所(だいあんしょうにんびょうしょ) |
地域 | 伊都地域 |
所在地 | 伊都郡九度山町九度山1413 |
時代 | 江戸時代後期・末期 |
指定年月日 | 平成28年3月15日指定 |
指定等区分 | 県指定 |
文化財分類 | 有形文化財(建造物) |
所有者 | 善名称院 |
解説
寛保元年(1741年)、九度山出身の僧大安(だいあん)によって創建されたと伝わる高野山真言宗の寺院である。真田昌幸・信繁(幸村)父子の旧宅跡との伝承により、「真田庵(さなだあん)」と通称される。南を正面とし、中央に本堂を、南東隅に土砂堂と大安上人廟所を配置する。
本堂は、寛保の創建後、安政3年(1856年)に再建されたものと考えられる。地蔵堂と庫裏(くり)を前後に建て、両者を相の間で繋いだ複合型の仏堂で、一部を3階建とする。左右対称を守らず、平面、立面ともに非対称の特異な形式を持ち、かつ重厚な外観を備えた異色の仏堂である。複雑な屋根形態は、屋根への関心が強く働く江戸時代後期の仏堂の特色をよく表すとともに、大工の独創性や技術的水準の高さを示すものである。
土砂堂は、明和9年(1772年)建築の三間堂で、上質な造りを持ち、大安が強く信仰した土砂加持(どしゃかじ)に関わる施設として稀少的価値が高い。
大安上人廟所は、安永3年(1774年)建築の小堂で、内部に多宝小塔を安置する。高野山真言宗における埋葬形態の様相を知る上で重要な遺構といえる。