旧野田家住宅 きゅうのだけじゅうたく
員数 | 2棟 |
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構成要素 | 主屋(しゅおく)、門及び塀 |
地域 | 日高地域 |
所在地 | 日高郡美浜町三尾482 |
時代 | 昭和前期 |
指定年月日 | 平成31年3月29日登録 |
指定等区分 | 国登録 |
文化財分類 | 有形文化財(建造物) |
所有者 | 美浜町 |
解説
旧野田家住宅は和歌山県日高郡美浜町三尾(みお)に所在する近代の洋風住宅である。
三尾は日ノ御埼に程近い漁村集落で、海岸沿いの傾斜地に形成され、家屋が密集して建てられている。江戸時代の三尾は主として漁業を営む村であったが、明治中期より漁民がカナダに渡航し、鮭漁などに従事するようになった。カナダでの生活は順調であったため、次第に集団的な移民が始まり、また帰国した人々はカナダの生活様式を持ち帰り、洋風の家を建てる人もいた。これらから三尾は「アメリカ村」と呼ばれるようになった。
旧野田家住宅は、昭和9年(1934年)頃に中津家によって建設された。中津家はカナダ・バンクーバーで働くなどして帰国し、この住宅を建てた。その後、野田氏が取得し、野田家の住まいとなった。主屋の建設年を示す資料は見つかっていないが、野田家の伝えでは地元の大工が建設したという。
主屋は主棟部、台所部、和室部、浴室部をロ字型に連ね、中央に小さな中庭を設ける。主棟部は木造2階建、寄棟造、瓦葺で、その他は木造平屋建、瓦葺である。外観は南京下見板を張り、水色のペンキを塗った洋風住宅で、屋根は緑色のセメント洋瓦で葺かれている。主棟部の正面側には玄関ポーチを張り出す。玄関を入ると、正面に2階に上がる階段が設けられ、東に洋室の応接間を設け、西には和室がある。2階の南側は床の間を備えた和室、北側は洋室の2室よりなる。洋室の床はフローリング張り、壁はニス塗りの腰壁に漆喰塗りとした本格的な造りである。
門及び塀は鉄筋コンクリート造の塀で、南東隅に東面して門を構える。全体に洗い出し仕上げとした上質な塀である。
三尾集落の中で、洋風の当住宅はひときわ目を引く存在で、アメリカ村の象徴的な建物として長らく注目を集めてきた。平成29年度には、野田家から美浜町に所有が移り、保存修理が行われ、平成30年度よりカナダミュージアムとして活用されている。