和歌山県建築士会館 わかやまけんけんちくしかいかん
員数 | 1棟 |
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地域 | 海草地域 |
所在地 | 和歌山市卜半町38 |
時代 | 昭和41年 |
指定年月日 | 令和2年8月17日登録 |
指定等区分 | 国登録 |
文化財分類 | 有形文化財(建造物) |
所有者 | 一般社団法人和歌山県建築士会 |
解説
一般社団法人和歌山県建築士会が所有するオフィスビルである。市堀川(いちほりがわ)北岸の旧河川敷に建ち、周辺は近世には荷上場として利用されていた。
和歌山県建築士会は昭和27年(1952年)に設立され、しばらく他の設計事務所内に場所を借り、事務局を置いていたが、昭和36年(1961年)の総会・理事会で新たな会館の建設が決定された。建設資金は会員協力金と銀行借入によるもので、士会独力による資金調達であった。
建設予定地は県有地であったため、県から払い下げを受け、昭和40年(1965年)5月26日に起工、昭和41年(1966年)11月5日に竣工した。設計は富松(とまつ)建築設計事務所(意匠設計担当)、雑賀(さいか)建築設計事務所(構造設計担当)の共同によるもので、施工は原庄組(はらしょうぐみ)、建設費総額3,750万円であった。なお、意匠設計を担当した富松助六は和歌山県出身で、昭和45年(1970年)に和歌山県民文化会館を設計している。
会館は、鉄筋コンクリート造3階建で、正面、背面にタイルを張り、真四角の窓を整然と並べ、側面はコンクリート打ち放しで仕上げた平明なモダニズムの外観である。全体に凝った意匠は見られないが、柱と壁面を分離し、窓をタイル割りに合わせ、外観を整えるため立樋を内樋にしたことにより、軽快かつ細やかな外観を形作る。西側面は会館の看板を切り文字で掲げ、ともすると単調な壁面を引き締めている。
外観は戦後モダニズムオフィスビルの一つの典型的な姿であり、現在もその姿は良く保たれている。意匠設計を担当した富松建築設計事務所は、当時の和歌山を代表する設計事務所の一つであり、現存する富松の作品の一つとしても貴重である。