丹生神社のトガサワラ にゅうじんじゃのとがさわら
地域 | 伊都地域 |
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所在地 | 伊都郡高野町相ノ浦318 |
指定年月日 | 平成27年1月15日指定 |
指定等区分 | 県指定 |
文化財分類 | 天然記念物 |
所有者 | 相ノ浦丹生神社 |
管理団体 | 高野町 |
解説
トガサワラはマツ科トガサワラ属に属する常緑高木で、明治26年(1893年)に紀伊半島南東部で初めて確認された日本固有種である。トガサワラ属は、漸新世から中新世には北半球に広く分布していたが、その後の気候変動等により北米西部及び東アジアの一部に分布域が縮小したことが知られており、生きた化石植物ともいわれる。世界で確認されている6種のうち、日本にはトガサワラのみが分布する。常緑広葉樹林帯から落葉広葉樹林帯への移行帯で、多雨地域でもある紀伊半島中南部及び高知県東部の魚梁瀬地方にのみ分布し、標高400~800メートルの尾根筋や急峻な斜面の陽地に生育する。環境省では絶滅危惧Ⅱ類に区分され、個体数は全国で約1,000本と推定される希少種である。樹形は広円錐形を呈し、雌雄同株である。樹皮は赤褐色から灰褐色で縦裂する。葉は枝に螺旋状に付き、その形状はツガに似て鈍頭。若木の葉は先が二つに分かれるが、ツガより細長い。花は4月に咲く。毬果(きゅうか)は秋に熟し、ツガの2倍ほどの大きさで、苞鱗(ほうりん)が種鱗(しゅりん)より突き出し反り返る。
丹生神社のトガサワラは、胸高幹周5.23メートル、樹高約35メートル、樹冠は東西8メートル・南北8メートルを測る大樹で、その分布は県内の生育北限地である。幹は約10度南南東に傾き、部分的に枯損した枝もいくつか見られるが、樹勢は良好である。胸高幹周では全国的に見ても、三重県熊野市の大又国有林内に生育する胸高幹周6.05メートルのトガサワラに次ぐものである。