那智三瀑図 野呂介石筆 なちさんばくず のろかいせきひつ
| 員数 | 1幅 |
|---|---|
| 地域 | 海草地域 |
| 所在地 | 和歌山市吹上(和歌山県立博物館保管) |
| 時代 | 江戸時代 |
| 指定年月日 | 平成23年3月15日指定 |
| 指定等区分 | 県指定 |
| 種類 | 絵画 |
| 所有者 | 和歌山県 |
解説
本作は、江戸時代後期の紀州を代表する文人画家・野呂介石(1747-1828)が描いた晩秋の那智の滝図である。野呂介石は、和歌山城下の町人の子として生まれ、47歳で紀州藩に登用された後も、藩務のかたわら多くの作品を残し、我が国の初期文人画家として名高い祇園南海、桑山玉州とともに、紀州三大文人画家の一人とされる。
本図は、作者が何度も描いた那智の滝を主題とし、那智の一の滝を画面のほぼ中央に据え、周辺の堂社などは一切描かず、一の滝の上流に位置する二の滝、三の滝を俯瞰して一画面に描いた作品である。対角線を意識した構図や、一の滝の下に設けられた広い余白が、滝の水しぶきや画面の奥行を感じさせ、画面下の左右に配された斜めの土坡と樹木は広い余白とのバランスを保っている。また、全体を色彩の面と点で表現する彩色法は、画面にさわやかで明るい印象を与え、とりわけ紅葉した樹葉の描写が美しい。地理的な説明をまったく加えず、紅葉のグラデーションと滝の美しさのみを見事にとらえた穏やかでおとなしい表現に、介石らしい画風が伺える。
那智の滝と紅葉という単純なモチーフの中に、実景らしい描写と、介石がこれまで身につけてきた日本や中国絵画における山水画の構図や描法をたくみに取り入れた作例であり、介石の代表作と位置付けられる。